腸内環境が体に与える影響と腸内環境を整えるおすすめの方法

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●現代人の抱えるストレス、食生活の変化が体に及ぼす影響

人間関係、仕事、家庭問題、経済状況、環境破壊など現代にはストレスがあふれています。そして、食生活も大きく変化をしました。こういった影響が人間の体に影響を及ぼしていると考えられます。
人間の体温が常に一定に保たれていたり、意識しなくても心臓が動いているのは自律神経の働きによるものです。
自律神経には2種類あります。1つは交感神経、もう一つは副交感神経です。交感神経は緊張しているときや活動的な日中に主に働き、副交感神経はリラックスしているときに働きます。この2つの働きのバランスが保たれていることで体の健康が守られています。
ところが、現代はストレスの影響で交感神経優位になりやすく、自律神経が乱れてしまっている方が珍しくありません。自律神経は体温調整、呼吸、消化などさまざまな活動にかかわっているので、頭痛、めまい、下痢、便秘など自律神経が乱れて表れる症状はさまざまです。
それだけでなく、食生活も体に影響を与えます。
厚生労働省管轄の財団法人「健康・体力づくり事業財団」が2010年までの健康のための目標として定めたものが「健康21」です。健康21では20代~40代は脂肪分の摂取カロリーに占める割合は25%以下にすることが望ましいとしていますが、2004年の調査では脂肪からのエネルギー摂取量が25%を超えている人が男性では4割、女性では5割という結果になっています。
脂肪分の摂取量が増えた原因として考えられることが肉類と乳製品の摂取量の増加です。動脈硬化を予防するためには、動物性食品に含まれる飽和脂肪酸の摂取量が過剰にならないようにすることが大切です。そして、肥満防止のためにはカロリーの高い脂肪の摂取量を減らすことも重要になります。

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●健康と腸内環境の関係

このように現代人は健康への影響が心配される生活をしているのですが、健康の鍵を握るといわれているものが腸内環境です。
腸内には1000種類、100兆個もの腸内細菌が棲みついているといわれています。腸内細菌の研究が進み、これらの腸内細菌が作り出す物質が人間の健康に影響を与えているのではないかといわれるようになりました。
たとえばアレルギーです。
アレルギーは免疫のバランスが崩れてることで起こる症状と考えられます。免疫の7割は腸に集まっています。つまり、腸内環境が免疫に影響を与えるのです。腸内細菌のバランスによって腸内環境はよくも悪くもなり、これが免疫のバランスに影響を与えます。
他にも精神的なものと腸内環境が関係しているともいわれています。
うつ病はセロトニンというホルモンが不足しています。腸内最近はセロトニンの前駆体を作りだしており、腸と脳の関係が研究によってわかりはじめています。腸の状態が脳に影響を与えることを脳腸相関といいます。
ヤクルトの研究によると、腸内細菌の一種ラクトバチルス菌は、うつ病患者で約79万個、うつ病でない人で約398万個、ラクトバチルス菌の数が約309万個以下だとうつ病発症のリスクは2.5倍になると報告されています。

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●腸内環境とダイエット

腸内環境が体型にも影響を与えます。
肥満の人はファーミキューテス、やせている傾向のある人はバクテロイデスという腸内細菌を多く持っています。
人間が食べたものは小腸で消化されますが、一部消化されないものがあり大腸に届きます。ファーミキューテスは大腸に届いた未消化物を分解してエネルギーを作り、このエネルギーが体内に吸収されます。つまり、ファーミキューテスが多いと余分なカロリーを吸収してしまうということです。
バクテロイデスは食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を作りだします。短鎖脂肪酸の一部は大腸上皮のエネルギーになり、残りは体内に吸収されます。短脂肪酸もエネルギーになるのですが、短鎖脂肪酸は脳や脂肪細胞に作用をして、脂肪の合成を抑制し、エネルギー生産量を増やし、肥満を抑制するように働きます。
このように腸内細菌がダイエットに影響を与えています。食事からのカロリー摂取量のバランスを整えることや運動をすることだけでなく、ダイエットを成功させるためには腸内環境を整えることが大切だといえそうです。

●腸内フローラとは

ここまで腸内環境が健康に影響を与えると説明をしてきましたが、では腸内環境とは何でしょうか。
腸内には1000種類以上の腸内細菌が棲みついており、人間に有益な働きをする菌を善玉菌、細菌が作り出す物質が人の健康に悪影響を与える菌を悪玉菌、どちらでもないものを日和見菌と呼んでいます。善玉菌の代表が乳酸菌やビフィズス菌、悪玉菌の代表が大腸菌やウェルシュ菌です。あくまでも人間にとって有益がそうでないかという視点で分けたものです。
悪玉菌に比べて善玉菌が多い状態を腸内環境がよいといいます。
善玉菌・悪玉菌・日和見菌の理想の割合は2:7:3です。善玉菌が多ければ多いほどよいのではなく、悪玉菌が少しいることで体のバランスが保たれています。
日和見菌は善玉菌・悪玉菌、どちらか優勢な方に傾いて働きます。普段はおとなしくしている菌ですが悪玉菌優勢になってしまうと人にとって悪い働きをします。

腸内細菌たちは陣取り合戦をしており、空いたスペースがあればそのスペースを狙って繁殖をします。善玉菌が減ってしまえば、悪玉菌が繁殖しやすくなってしまうのです。腸内細菌の大部分を占める日和見菌なので、善玉菌よりも悪玉菌が増えないように腸内環境を整えることが体のバランスを保つうえで大切です。
さまざまな腸内細菌が棲みついていますが、そのようすはお花畑のように見えることから腸内フローラと呼んでいます。フローラ(flora)とは花畑のことです。

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●腸内環境を整える方法

腸内環境は、生活習慣、ストレス、年齢の影響を受けて変わります。年齢の影響は避けられないことですが、生活習慣とストレスは変えることができます。変えられることを変えることが腸内環境を整えることにつながります。
生活習慣では食事が腸内環境に大きな影響を与えます。
腸内環境を整えるために摂りたい食品は次のようなものです。

・発酵食品

発酵とは有効な微生物が働いて、物質を分解させることです。

発酵に必要な菌として有名なのは、まずは乳酸菌が代表的な菌です。他の細菌を殺菌する力があり、チーズやヨーグルトの生成には不可欠な菌となります。

麹菌は米や大豆などを加熱すると繁殖し、おいしさのもととなるアミノ酸を作り、糖を分解する酵母菌は、パンを作るのに必要不可欠な菌です。腸内環境を整える納豆菌や、アルコールを酢酸に変える酢酸菌なども有名です。

発酵が進んでいくと、でんぷんは糖分に変わり、たんぱく質はアミノ酸に変わっていきます。これにより甘み成分や旨味成分が増えて、この事が「おいしい」と感じるように変化していきます。

発酵食品は善玉菌が多く、腸内環境が改善し宿便の排出が促されます。また、ビタミンC、カロチン、ポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれているので、美容に優れた食品と言えます。

そして、がん・脳卒中・心筋梗塞などの生活習慣病との関係も明らかになっています。日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っている保健所の調査によると、調査開始時に循環器疾患などの既往を有さない40~69歳の正常血圧者を調査し、5年後にも血圧測定を行った4,000人を対象に、大豆製品の摂取量と5年後の高値血圧発症との関連を調べた結果を専門誌で論文発表し紹介しています。

大豆製品、大豆製品からのイソフラボン、発酵性大豆製品及び発酵性大豆製品からのイソフラボンの各々の摂取量と5年後の高値血圧の発症との関連を調べました。大豆製品及び発酵性大豆製品について、摂取量により3つのグループに分け、高値血圧発症のリスクを比較した結果、発酵性大豆製品の摂取量が多いグループで高値血圧発症のリスクの低下がみられました。

 

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・サプリ

ヨーグルトや納豆などの発酵食品が苦手な方はサプリメントを利用すれば、手軽に乳酸菌やビフィズス菌を摂取できます。サプリメントの利点は、ヨーグルトなどを食べるよりもカロリーを抑えらえることと、1カプセルで多くの乳酸菌や善玉菌を摂取できることです。

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・食物繊維

食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物船にの2種類があります。
水溶性食物繊維は糖や脂肪の吸収を穏やかにしたり、腸内の善玉菌のエサになる働きがあります。一方、不溶性食物繊維は便のかさましをして、大腸を刺激して働きを活発にします。
善玉菌のエサになる水溶性食物繊維を摂ることで腸内の善玉菌が元気になります。水溶性食物繊維を多く含む食品は、果物、海藻、大麦などです。
不溶性食物繊維は便通を促すことによって腸内での悪玉菌の繁殖を抑制します。

ストレスは完全になくすことはできません。音楽を聞く、深呼吸をする、運動をするなど自分なりのストレス解消を持ってストレスに対処をしましょう。

・オリゴ糖

オリゴ糖の中には人間が持つ消化酵素では分解されにくい特徴があり、分解されずに大腸に届いたオリゴ糖は腸内の善玉菌のエサになります。オリゴ糖を多く含む食品は、大豆、バナナ、ハチミツ、タマネギ、ごぼうなどです。オリゴ糖のシロップやパウダーもあります。

 

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